リフォーム日記 #3

前回 からだいぶ日が経ってしまった。4月で90%ほど工事が終わり住み始め、ゴールデンウィークに残工事が入り、7月頭に納期未定だったものが全て納入されてようやく全工事が終わった。長かった…。

リフォームの施工編を終えてみて、難しかったところを五月雨に書いてみる。

1. 伝言ゲーム

リフォームで起こる問題の多くはこれに尽きるなと思った。施主、リフォーム業者 (設計者)、施工業者、職人、という多重構造になっていることで、指示が甘かったり、連絡が抜け落ちたりが発生しやすい。

Web開発でも同様の構造が起きやすいなかで、カンバンやGitHub Issuesみたいなものでタスク管理やバグトラッキングしていたりすると思うが、リフォーム現場にそういうものが無い。無いものは仕方ないので、施主から細かく管理するしかない。

幸い、お願いしていた施工業者はLINEグループで毎日作業進捗を報告してくれていたので助かった。ただそれでも抜け漏れは発生しまくった。リフォーム終盤は休工日を狙って現場に自分で行って、要望が反映されてるかどうかをチェックするようにしていた。

2. 解体してみないと分からない

これは中古マンション特有の難しさだと思うが、解体して初めて設計が実現できるかどうかがわかることが多い。特に水回りの配管や、天井の配線、躯体現しやアンカー打ちのような躯体に影響があるもの。うちの場合だと、スプリンクラーがあったことで、天井の躯体現しをやろうとすると費用がかさむことが分かって諦めたり、ハンモックをつけたかったが躯体の状況的に諦めたりした。

逆に天井を解体してみて「カセット型の業務用エアコンのほうが美しく設置できそう」というのがわかり、業務用エアコンの設置を決めたり、そのお陰で天井がスッキリしたりと、良い誤算もあった。

設計段階で過度に詰めすぎず、解体してから考える余白を最初から見込んでおいたほうがいい。

3. 照明と電源のシミュレーション

1と2の難しさが顕著に現れるのが、照明と電源の位置決めだと思う。うちは結局追加施工が発生してしまって、無駄な費用がかかった。

両者ともに「自分がどう暮らすか」を高度にシミュレーションすることが求められ、他人 (リフォーム業者) 任せにしていても良い提案は得られないと思ったほうがいい。特にコンセントの位置は、細かく場所を指定しないと現場の職人のよしな力に任されてしまう。大まかに指定するのではなく、数mm単位で位置を指定したほうがいい。

後からお金さえ払えば、追加・修正はしてくれると思うが、追加する位置によっては点検口の設置が必要になることがある。電源の配線は天井裏を通ってることが多いので、部屋の完成後に後から配線をいじるには、天井に作業用の穴をあける必要があるということらしい。点検口は見た目に大きく影響する。

シミュレーションをどうやるのか?というと、こればっかりは3Dモデルでも作って地道にやるしかないかなと思う。自分は結局タイミングが合わなくて、3Dモデリングの素振り (BlenderやFusion360の練習) だけして、本番では使わずに終わった (そして一部失敗した…)。次回もしリフォームするなら、ここはちゃんと時間使ってやりたいなと思う。

4. 半導体不足問題

これは2022年特有の問題ではあるのだけど、半導体不足というやつはかなり根深い。IHヒーターや食洗機、エアコン、トイレなどなどあらゆる住宅設備の納期に影響があるのが現状。特に受注生産が主流で選択肢が少ないニッチな設備ほど影響を受ける。IHや食洗機のようなメジャーなものは、海外製に拘らず国産も含めればまだマシだが、エコキュートやディスポーザーのようなそもそも選択肢が無いものが困った。

こればっかりはどうしようもないので、施主支給を使いながらネットで広く在庫を探すしかないと思う。うちの場合は、メーカー既製のキッチン (サンワカンパニー) をはじめは考えていたんだけど、食洗機やIHヒーターなど付帯設備がどれも納期未定で厳しかった。結局メーカー既製品は使わず、シゲル工業というOEMのキッチンワークトップをベースに、食洗機やIHなどを個別にネットで買い揃えるスタイルにした。メーカー既製キッチンほど見た目の統一感は出ないものの、納期・使い勝手・コスパが良いとこ取りできる良い選択だったと思う。

5. DIYと壁材

DIYが趣味、あるいは費用を抑えるために一部DIYをする人向けの細かな話として、部屋ごとに壁材に何が使われてるのかを覚えておくと後々べんり。といっても特に指定してない限りは石膏ボードが使われているのだけど、そうなると後から「棚をつけたい」「重い額縁や植物をかけたい」となったときに困る。

石膏ボードであっても今はいろいろやりようがある (アンカー打つとか) ものの、最初からDIYを見越しておくなら、リフォームの段階で石膏ボードではなく板を貼ってもらうなど仕込んでおいたほうが良い。そうすると耐荷重を心配することなくビスが打てるようになり、DIYに便利。

おわり

いろいろ書いたが、リフォームの難しさはほとんど伝言ゲーム問題だと思う。今回は小規模なリフォーム業者 (というかデザイン業者) に設計を依頼し、別途施工業者とも契約するという座組みだったことで、施主である自分がカバーする範囲が広かったように思う。リフォーム業者にワンストップで依頼できる形だと、コーディネーター的な人がついてくれるだろうから伝言ゲーム問題は起こりづらいのかもしれない。その分費用もかかると思われるので、結局手間をとるか、コスパをとるかになりそう。

リフォームはなかなか大変だったが、自分の仕事に通じるところも多く楽しかった。次はもっとよく出来ると思うので、また機会があればやってみたい。