リフォーム日記 #2

リフォーム日記 #1 の続き。前回はリフォーム会社を探しはじめ、ムードボードをつくりつつ、会社を決めるところまでを書いた。今回はプランニング編を書いてみる。一部はポッドキャストでも話してみた。

ターゲットを決める

いつものサービス開発みたく「誰のための家なのか」を決めた。自分の脳内で意識してただけなので、ざっくりと。

  • 家族構成: 1~2人暮らし (DINKS)
    • 独身~結婚して子供部屋が必要になるまで暮らすのを想定
  • 働き方: IT企業勤務のリモートワーク
    • 夫婦そろって家からZoom会議することもある (仕事場が2つ必要になる可能性)
  • 価値観: ブランド名や装飾よりも、素材感や住み心地を重視
    • DIYなど自分なりのカスタマイズにも労をいとわない
    • 家探しはスーモよりもカウカモ

独身なので、言うまでもなく自分のための家。なんだけど、今現在の自分だけにカリカリにチューニングしないように、自分がライフステージ1つ上がった像をイメージした。逆に、ライフステージが2~3つあがった状態、子供部屋が必要になるぐらいの家庭はターゲットから外すことを決めた。

購入したのは60㎡ 2LDKの家で、前オーナーも子供部屋ありの3人暮らし。内見した時点で壁壊して1LDKに変えようと心に決めていたのだけど、仲介業者には「売りづらくなるからやめたほうがいいですよ」と言われていた(親切)。プロからそう言われると気持ちは揺らいで、「将来を考えると、稼働式の壁にするか…?」とか折衷案を考え出す。

そんなときに「誰のための家なんだっけ」と思い出し、意思決定をブラさないように気をつけてた。

王道から外れること

リフォームプランを決めていく上でマストにした項目はこんな感じ。

  1. 間取りの変更 (2LDKから1LDKへ)
  2. サウナの造作
  3. キッチンのアップデート
  4. フローリングを無垢材に

将来のリセールを考えると、大きいのは1つ目と2つ目。中古マンション市場では際物になり、売りづらくなる。なんだけど、将来の売りやすさ (不確実) のために、今現在の住み心地を我慢するのは本末転倒に感じたので考えすぎないよう割り切った。

楽観的に考えれば、今後ますます増えるDINKS世帯向けなら1LDKでも売れるだろうし、万が一売れないのであれば、そのときにプチリフォームで壁を作ればいい。造作サウナも将来邪魔になるなら、ウォークインクローゼットにでも改装すればいいや、と。いずれも数十万でできるだろう、ということも見積もりとっててわかった。

今後、住宅がどんどん余っていくなかで、むしろ個性が価値に繋がればいいな。なんて思ってたので、最近リリースされたウルカモには共感した。

note.com

余談: 家の価値は誰が決めるのか

ウルカモのnoteでも触れられてるけど、モノはメルカリとかで自由に値段を決めて売れるが、住宅は仲介業者 (不動産屋) の査定によって値段が決まる。

査定価格自体は需供によって調整されるものだと思うが、買い手でも売り手でも無い仲介業者によって価値が決められるのは窮屈に感じる。結局、世のマンションの多様性のなさは、仲介業者が値付けしやすいようにした結果なんだろう。自分のキャリア的にも他人の作った土俵から積極的に降りてきたタイプなので、こういうことを知るとますます王道から外れたくなる。

という雑談を徐々に仲良くなってきたリフォーム会社の人としていて、音楽性が合う人と出会えて良かったなと思った。

作り込みすぎない

費用を抑えたかったのもあって、造作の備え付け家具はなるべく作らないことにした。付け足すよりも、壊して作り直すほうがお金がかかる。将来の不確実性を考えると、なるべく曖昧さを残しておきたかった。

と思いつつも、「将来二人暮らしになるとすると、書斎に壁が必要か…?」とか予定にないことをまた迷い出す。いま不要なモノは作らない、必要になったときに作ればいい、と念じてた。

建具 (ドアやクローゼット) も元が2LDKの分譲マンションなので、自分にとっては不必要に多かった。一つ一つ本当に必要か吟味して、迷ったら削る方向にしていった。

例えばドアって、「熱・音・光を遮る」という機能と、「視線を遮る」という機能があるように思う。後者は一人暮しの場合はそこまで必要ないし、場合よってはドアじゃなくても同じ機能は満たせる (暖簾とか)。とか考えて、洗面所のドアは取っ払った。

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そんな感じで決めていったリフォームプラン。打ち合わせでもらった図面を持ち帰って、それに書き込みまくって脳内シミュレーションしたり、現地で大きさを体感で測ったりしつつ考えを練った。

3Dモデルがあると良いかもなとふと思いたち、YouTubeみながらBlenderに入門してみたり、建物にはCADのほうが向いてると後から知ってFusion360の素振りをしてみたりしてた。

できなかったこと

まず予算の都合で風呂場はリフォーム対象から早々に外した。普段シャワーで済ませるタイプなのでまあいいかと思ってるけど、サウナに水風呂は大事なのでいつか作り替えそう。

残念だったのは天井の躯体現しができなかったこと。無機質な雰囲気がすきなので、躯体現しはやりたかったんだけど、天井にスプリンクラーがあった。

最近のマンションは、二重天井になっているので、躯体現しには天井を一度壊す必要がある。そこでスプリンクラーがあると、全移設になり防災工事の費用がかなりかかるらしく、予算的に諦めた。あと数階下のフロアだったらスプリンクラー取り付け義務が無いらしい。買う前に知りたかったやつ…。

デザイナーとの相性

リフォームプラン (図面) を作るのは自分ではなく、リフォーム会社のデザイナーさん。仕事と一緒だなーと感じたところだけど、細かな意思決定において音楽性が合うかどうかは大事。

  • 床材や壁紙を選ぶ基準
    • コストを最重要にするのか、機能性や風合いも大切にするのか
  • 見えない部分での費用の抑え方
  • ドアノブなど金物類の選定

などなど、どれもこちらが要望を出せば最大限汲み取ってくれるけど、自分もプロダクトオーナー (施主) 未経験者なので、そもそも要望の精度が甘いことが多い。

細かな部分ほど、提示してくれる選択肢のセンスが大事だし、ここが合わないと修正地獄になりそう。

ただその音楽性が合うかどうかがリフォーム会社選定してる段階ではわからない。リフォーム会社を選ぶときにはどうしても施工事例の写真に惹かれてしまう。

中古マンションの場合は、物件を解体してみないとわからないことが多く、惹かれた施工事例が自分の物件で再現できるかどうかは保証されない。これはリフォーム進めるにつれてわかってきた。

なので施工事例よりも大事なのは、リフォーム会社や担当デザイナー自身の価値観とか、得意とするプロセスなんだろう。業界の特性なのかそれが外から見えづらい。リフォーム会社を選ぶときに、「デザイナーと直接話せること」と「担当デザイナーが自分の好きな家具屋出身だったこと」を重視したのは、価値観やプロセスの理解につながる部分だった。そこまで全然意識してなかったけど。

ドアノブ選定時に、自分でDIYやってたときに良いなと思ってた金物屋の製品を、何も伝えてないのにチョイスしてくれたのにはテンションあがった。

予算との折り合い

そんな感じでテンションあがってると、どんどん予算感覚がガバガバになってくる。費用が増えるのは早いが、減らすのはなかなか難しかった。

  1. 施主支給に変える
  2. リフォーム対象を削る (造作家具や建具)
  3. 素材を変える
    • 一部のタイルを塩ビタイルにしたり
    • 最近のものは素材感も良かったりする

2と3は小さな積み重ねなので、一番費用にインパクトあるのは施主支給。エアコンや食洗機など住宅設備を、施主がネットで買って、現場に支給して取り付けだけしてもらうパターン。

住宅設備は同じ製品であっても、仕入れルートによって価格が変わるのが慣習らしい。施工会社はメーカーから卸値で買って、それに彼らの利益を多少乗せ、見積もりを出す。その卸値自体も施工会社の規模によって、ディスカウント幅が変わるらしい。

ただネットには、大きくディスカウントされた値段で同じ製品が売ってるので、それを僕ら施主が直接買うことで、施工会社を通すよりも安く手に入るのがメリット。

デメリットは施主が注文をミス (サイズが合わないの買ったり) っても自己責任なことや、納期と施工のタイミングが合わなかったりすると工事に遅れがでること。基本的には施工会社は嫌がると思うが、自分が契約したところは施主支給にも寛大で助かった。

食洗機、水栓、IH、エアコンと大物家電は施主支給にしたので、数十万円はカットできた。

リフォーム会社経由で相見積もりを取ってもらいつつ、最後は予算を明確に伝えて価格交渉をしてもらって施工会社を決めた。


そしていまリフォーム工事の真っ最中。全然実感わかないけど、2週間後には引越してるらしい。そのうち施工編も書く🔨