Kibelaの開発から離れました

もう一ヶ月前ですが、ふと思い立ったのでブログに。9月いっぱいで3年半かかわってきたビットジャーニー社 (BJ社)が運営するKibela (https://kibe.la/)の開発から離れました。

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僕とKibela

2015年にクックパッド社からの出向社員*1として、当時は社長1人だったBJ社に参加。社長が技術顧問業で資金を調達し、僕がKibela立ち上げに責任を持つという役割分担でスタートしました。去年の夏からは僕がクックパッドに復帰 (出向解除) した関係で、兼業していました。

役割的にはプロダクトマネージャー業に軸足を置きつつ、初期は人も居なかったのでデザインからインフラまで、プロダクト立ち上げに必要なことは何でもやってました。2017年春に正式リリースして、今ではNewspicksさんやSmartHRさんなど、多くの会社でご利用いただけるようになりました。

Kibelaというサービスについてはこちら

やってよかったこと

上記スライドにもありますが、Kibelaで一番やってよかったのはCS中心のプロダクト開発プロセスを作れたことかなーと思ってます。

Kibelaは社内情報共有サービスという性質上、ユーザーがどのような記事を投稿しているのか運営側はアクセスしない、というポリシーで運営しています。SaaSとしては当然のことですが、クックパッドでBtoCサービスを開発してきた僕としては一番面食らった点でした。自分のサービスがどんな使われ方をしているのか分からない、というのは目隠しをしながらサービス開発するような感覚。

もちろんアクセス解析ツールだとかで量的データは取れるのだけど、サービス開発初期はインタビューだとか質的データを重視したくなるもの。当時はその状況をなんとかしたく、いかにインプットを増やせるかを考えていました。例えば以下をやってました。

  • チャットベースのCSツール (Intercom) をプロダクト開発の中心に据える
    • 質問や要望はなるべくIntercomに誘導する、チャットで「なぜそれが必要だと思ったのか、どんな状況だったのか」を開発メンバー自身が深掘りする、それをメンバー全員で週次で咀嚼する
    • 要望に応じることができた場合はご報告して、フィードバックしがいがあることを実感してもらう
  • プライベートベータ版をリリースした際は、Kibelaユーザー用のSlackを作り、導入企業のCTOやリードエンジニアに入ってもらう
    • マネージャーレベルでどんな課題感があるのかを深掘る
  • 他社競合製品も含めたエゴサーチ
    • 他社製品のユーザーは自社製品の想定ユーザー。どんな課題感を持っているのかを咀嚼
    • 他社製品をPRできるぐらい製品理解を深める

初期のプロダクト開発において一番の要はユーザーやコンテキストの理解だと思っています。それを走りながら実践するにはどうしたらいいのかを考えた結果こうなりました(もちろん対面インタビューだとか脚を使う施策も平行して)。toBであってもtoCと同じように、開発メンバー全員で顧客に向き合ってサービスを開発するスタイルを作れたのは、Kibelaにとって大きかったかなと思っています。

SaaSをつくる楽しさ

SaaSは初挑戦でしたが、自分の作ったプロダクトが「ネットでよくみるあの会社」や「あのサービスを作ってる会社」に導入され、サービスを生み出すための道具になり得るのはやり甲斐が大きかった。かつ、プロダクトの改善がそのまま収益につながるというのも、SaaSモデルの楽しいところ。

数千万人を相手にするtoCサービスとは違って、トラフィック量はもちろん少ないのですが、「名前も顔も知っているあの人」からフィードバックを貰えるというのも刺激的でした。特にKibelaはデザイナーやエンジニアの方に多く使ってもらっていることもあり、同業の方から褒められるのは嬉しさ倍増でした(そのぶん苦言をもらうと申し訳無さも倍増😇)

最後に

今後は社長のihara2525さんがPMとなり、資金調達もあったのでより会社らしくもなり、開発が加速するかと思います。まだまだ少数精鋭なので、ご興味ある方はお声がけいただけるといいかと思います。ビジネス的にも大々的なプロモーションはまったくしていませんが、売上は右肩上がりですし解約率も驚きの低さです。

色々経緯があって、僕自身は一度もいわゆる正社員にはなっていないのですが、雇用形態に関係なく、最大限の責任と裁量をいただき自由にやらせてもらえて感謝しています。一時期はイギリスからリモートさせてもらったり、働き方自体も超柔軟に対応していただき非常に働きやすかったです。3年半ありがとうございました。

個人的にSaaS作りは性にあってたので、次回作をまたどこかでやりたいなーと考えています

*1:クックパッド社とBJ社は特に資本関係がなく特例的な出向です